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広島家庭裁判所 昭和62年(少)10363号 決定

主文

少年を中等少年院(交通短期処遇勧告)に送致する。

理由

(非行事実)

少年は

一  自動二輪車運転者多数と道路において暴走することの意を通じ合い、自らは公安委員会の運転免許を受けないで自動二輪車(○○み××××号)を運転し、仲間が運転する車両約14台とともに、昭和62年4月19日午前0時頃から同日午前0時39分頃までの間、広島市西区××町×丁目×番××号所在○○駐車場から同市中区△×町を経由し同区○△を折返し同区×○町×丁目×番先○○交差点に至る約6.5キロメートルに亘る国道県道において車両を連ね又は並進して信号無視、蛇行運転、交互追越、エンジン空ぶかし、過巻、旗振等の集団運転行為を繰返し、同日午前0時25分頃同区△○町×番××号所在○○百貨店西側先交差店において、折から営業用普通乗用自動車運転中のD(47才)に対し、同人をして衝突の危険を避けるため停止することを余儀なくさせ、その進行を妨害し、もつて共同して、著しく道路における交通の危険を生じさせ、且つ著しく他人に迷惑を及ぼす行為をし、

二  前同日午前0時頃前記○○前道路において、自己所有の前記自動二輪車の後部に取付けの車両番号標を折り曲げこれを識別できない状態に隠蔽して同車両を運行の用に供し

たものである。

(上記非行事実に適用すべき法令)

一の事実につき 道路交通法第64条、第118条第1項第1号

同法第68条、第118条第1項第3号の2、刑法第60条

二の事実につき 道路運送車両法第73条第1項、第109条第1号

(処遇の理由)

少年は、これまでにも無免許運転を繰り返し、単車を購入し暴走運転に加つていたものであるところ、先に別件の非行により家庭裁判所調査官の試験観察に付され立直りの途が講じられて不処分となつた後、なおも無免許運転を行つて昭和62年2月25日当家庭裁判所で講習審判を受け不処分となつたが、やがて消音器を不法改造したうえ同年4月18日から19日にかけての深夜、車両番号標を折りまげて隠蔽した自動二輪車を無免許で運転して今回の集団暴走行為に参加していたものであり、交通法規軽視の行動が身についてきたと認められるうえ、少年の性向においても遊興志向が強く他罰的で徒遊の生活習慣が形成されつつある。少年のこのような生活態度に照らすと、少年において人命尊重の交通規範意識を育成しよき生活習慣を体得させるため、交通短期処遇の過程により約3ヶ月間の集中的な矯正教育を受けさせることが肝要であると思料する。

よつて、少年法第24条第1項第3号、少年審判規則第37条第1項、第38条第2項、少年院法第2条第3項により、主文のとおり決定する。

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